「一億総批評家と5人の日本人」
2004.6.7

 ドイツのベルリンの壁が崩壊して15年、東西の冷戦が終焉した時、地球上のすべての人々が、21世紀こそ平和と希望の世紀であって欲しいと願ったものの、結果はそれどころか、ますます混迷と紛争が続いています。
 今、私達の人間社会は大きな曲がり角、見方によっては、道に迷い込んでしまった感があります。
この背景の一つは、自由主義が社会主義に勝ったという「驕り」が、政治も経済もアメリカの1人勝ちとなって、世界を不安定なものにしているのです。
 政治とは本当に難しいもので、かつての米ソの対決は、緊張の中の安定、バランスによって戦争を回避していたなんて、何と皮肉なものでしょう。

 国際政治とは、民族とは、いや、人間とは本当に不可解なものですね。
 
 私は、この時こそ出発点に戻って考え直すことが必要だと思っています。一口で言えば、「原点に帰る」ことです。
 それは、出来るだけ飾りを取り、スリムになって裸になることではないでしょうか。
 このような時代、これが「絶対正しい」という様なことはまずあり得ず、答えはいくつもあると思われます。その中から、何が適切か、今回はどれを選択すべきか、相対的にものを考え、判断しなければならない時期に来ていると思います
 
 さて、経済社会のあり方ですが、中国の急速な発展を前にして、日本はこれから、どちらの方向に行ったら良いのでしょうか。
 社会主義が崩壊したことは、当然の結果で解るのですが、それでは自由主義が本当に勝ったのでしょうか。私はそうは思えないのです。

 もし、自由主義経済に、アメリカ型とヨーロッパ型があるとすれば、日本はヨーロッパ型をモデルにして、さらに21世紀の理想的な経済社会を世界の国々に示すべきではないでしょうか。現在のアメリカ型は、資本の強い者が勝つ「弱肉強食」のグローバル経済で、この市場主義で行けば、零細な自営者は皆無になってしまい、地域社会は必ず崩壊するでしょう。
 これに対し、ヨーロッパ型は伝統と歴史を尊重し、都市景観に見られるように、規則を上手に使って、バランスを重視しています。
 政治面ではEC統合を目指し、経済面では通貨ユーロを定着させ、アメリカ・日本に対して第3経済ブロックを形成しています。
 特に注目するのは、「中小企業憲章」を制定して、小企業・零細企業をきめ細かな政策で育成していることです。
 次回は、この「中小企業憲章」について、詳しく述べてみたいと思います。